2020年10月29日

精神障害の労災認定基準の改正について(パワハラ追加)

令和2年5月29日付けで「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正されました。

令和2年6月1日以降は、改正後の認定基準に基づき業務上外を判断するとしています。

改正点は、令和2年6月1日から改正労働政策総合推進法が施行され、「パワーハラスメント」の定義が法律上規定されたこと等を踏まえて、認定基準の「業務による心理的負荷評価表」に「パワーハラスメント」が明示されました。

具体的には、以下の内容が新設されました。

<@出来事の類型>
パワーハラスメント

なお、「パワーハラスメント」とは、職場において行われる以下の3つの要素を全て満たす言動とされます。
(1)優越的な関係を背景とした言動
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
(3)就業環境が害されるもの

<A具体的出来事>
上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた

なお、「上司等」には、
(1)職務上の地位が上位の者
(2)同僚又は部下であっても、業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合
(3)同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合
も含まれます。

<B心理的負荷の強度を「弱」「中」「強」と判断する具体例>
【「弱」になる例】
 上司等による「中」に至らない程度の身体的攻撃、精神的攻撃等が行われた場合

【「中」になる例】
上司等による次のような身体的攻撃・精神的攻撃が行われ、行為が反復・継続していない場合
治療を要さない程度の暴行による身体的攻撃
・人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃
・必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の面前における威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃

【「強」になる例】
・上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
・上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
・上司等による次のような精神的攻撃が執拗に行われた場合
(1)人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
(2)必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
・心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合

ここでの注意点は、最後の
「心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合」
です。

つまり、パワーハラスメント単体としては、「中」程度の心理的負荷であっても、被害者が会社にパワーハラスメントの相談をしたにもかかわらず、会社が適切に対応しなかった場合は、心理的負荷「強」と判断され、労災の認定要件を満たしてしまいますので、適切な対応が求められます。

posted by ユナイテッド・パートナーズ社労士事務所 at 16:15| 労働法改正情報