2020年04月16日

新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金について

新型コロナウイルス感染症の影響により、会社を休業しなければならない状況になった場合に、是非ご検討頂きたい雇用調整助成金について解説したいと思います。

なお、下記内容は新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年4月1日から6月30日(緊急対応期間)に限り、全国一律に特例措置が拡充されたもので、通常時の雇用調整助成金とは異なりますので、ご注意ください。

<@支給対象者とは?>
新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、その雇用する「対象労働者」の雇用の維持を図るために、労使間の協定に基づき「休業」を実施する事業主(雇用保険適用事業主)が支給対象となります。

なお、労災保険適用事業所、暫定任意適用事業所であれば、緊急対応期間(4/1〜6/30)中は、雇用保険被保険者とならない労働者の休業についても助成対象となります。ただし、雇用保険被保険者となる労働者を雇用しているにも関わらず会社が雇用保険に未加入だった場合には、会社の雇用保険加入の手続きが必要となりますので、ご注意ください。

ア 「新型コロナウイルス感染症の影響」とは
「新型コロナウイルス感染症の影響」とは、以下のような理由により経営環境が悪化し、事業活動が縮小していることをいいます。
【理由の一例】
@観光客のキャンセルが相次いだことにより、客数が減り売上が減少した。
A市民活動が自粛されたことにより、客数が減り売上が減少した。
B行政からの営業自粛要請を受け、自主的に休業を行ったことにより、売上が減少した。
など

イ 「事業活動の縮小」とは
売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近1ヵ月間の値が前年同月比(※)5%以上減少していること。
※生産指標は、原則として、初回の休業等計画届を提出する月の前月の対前年比で確認しますが、事業所設置後1年未満のため、前年に比較できる月が無い場合は、令和元年12月と比較して確認します。

<A支給対象となる休業とは?>
上記@の支給対象となる事業主が、次の(1)に該当する「対象労働者」に対して実施した、(2)に該当する「休業」が助成対象となります。

(1)「 対象労働者
「対象労働者」とは、上記1の「支給対象となる事業主」に雇用されている雇用保険被保険者(次の@、Aを除く)です。ただし、雇用保険被保険者以外の方は、要件を満たした場合「緊急雇用安定助成金」の支給対象となります
@解雇を予告されている方、退職願を提出した方、事業主による退職勧奨に応じた方(離職の日の翌日に安定した職業に就くことが明らかな方を除きます)
A日雇労働被保険者

(2)「 休業
「休業」は、次の@〜Eのすべてを満たす必要があります。
@労使間の協定によるものであること。
A事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること。
B判定基礎期間における対象労働者に係る休業の実施日の延日数が、対象労働者に係る所定労働延日数の1/40(大企業の場合は 1/30 以上となるものであること(休業等規模要件)。
(例)判定基礎期間における所定労働延日数が 22 日、「所定労働時間」が1日8時間の事業所において、10人の労働者が1日ずつ休業をする場合、「休業延べ日数」は 10人×1日゠ 10人日となります。この場合、10/220>1/40 となるため、当該要件を満たすこととなります。
C休業期間中の休業手当の額が、労働基準法第26条の規定(平均賃金の60%以上)に違反していないものであること。
D所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること
E所定労働日の全1日にわたるもの、または所定労働時間内に当該事業所における部署・部門ごとや、職種・仕事の種類によるまとまり、勤務体制によるまとまりなど一定のまとまりで行われる1時間以上の短時間休業または一斉に行われる1時間以上の短時間休業であること。
具体的には、以下の一定のまとまりで休業する場合も支給対象とされます。
・立地が独立した部門ごとの一斉短時間休業(例:客数の落ち込んだ店舗のみの短時間休業、製造ラインごとの短時間休業)
・常時配置が必要な者を除いての短時間休業(例:ホテルの施設管理者等を除いた短時間休業)
・同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う短時間休業(例:8時間3交代制を6時間4交代制にして2時間分を短時間休業と扱う)

<B助成金額は?>
休業を実施した場合の助成額は、次の@とAを乗じた額です。
@ 休業を実施した場合に支払った休業手当に相当する額(※)
( ※) 前年度1年間における雇用保険料の算定基礎となる賃金総額を、前年度1年間における1ヵ月平均の雇用保険被保険者数及び年間所定労働日数で割った額に、休業手当の支払い率をかけて算出します。
A 助成率(中小企業:4/5大企業:2/3
また、1/24 以降、次の解雇等を行わない場合は、助成率を中小企業は 9/10大企業は 3/4 に更に引き上げられます。
・期間の定めのない労働者を、事業主都合による解雇した場合
・期間の定めのある労働者を、解雇とみなされる労働者の雇い止め、事業主都合による中途契約解除等した場合
・派遣労働者を、契約期間満了前に事業主都合により契約解除等した場合
ただし、1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額(令和2年3月1日時点で8,330円)を上限額とします。

では、具体的に助成額を試算してみます。
以下の例はあくまでも、目安としてご覧下さい。

助成額の基礎となる賃金は「前年度1年間における雇用保険料の算定基礎となる賃金総額」です。
@この額が39,000,000円だったとします。

次に「当該期間の月平均の雇用保険被保険者数」を調べます。
Aこの人数が15人だったとします。

次に「前年度の所定労働日数」を調べます。
Bこの日数が260日だったとします。

@〜Bを次の算式に当てはめて「平均賃金額」を出します。

@/(A×B)=平均賃金額=10,000円(a)

この金額に労使協定により定められた休業手当の率を乗じます。
(b)これを60%と仮定しましょう。

(a)×(b)=10,000円×60%=6,000円(c)
これが「休業手当に相当する額」となり、
この場合の助成額は、
(d)助成率10分の9が適用されるとして、
(c)×(d)=6,000円×9÷10=5,400円
これが基準賃金額になります。

これは1人/日の額ですから、あとは休業対象者と休業延べ日数を乗じた額が助成されるということです。

<C手続きの流れは?>
一般的な流れは
(1)計画届の提出
(2)休業の実施
(3)支給申請
です。

計画届は、原則として休業開始の前に労働局等に提出することが必要ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、雇用調整助成金の特例を実施しており、令和2年6月30日までは休業等の計画届の事後提出が可能です。
このため、休業を実施し、休業手当を従業員に支払った後(判定基礎期間後)に休業等計画届と支給申請書を一緒に提出することが可能です。
なお、支給申請は休業を実施した判定基礎期間の翌日から2ヵ月以内に提出しなければなりません。また、計画届を事後提出した場合には、事後提出の翌日から2ヵ月以内に申請しなければなりません。

posted by ユナイテッド・パートナーズ社労士事務所 at 11:09| 労務相談Q&A