2020年03月16日

2020年4月1日 パート・有期法改正(同一労働同一賃金:均衡・均等待遇)

2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日)より「パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)」が適用対象者を拡大し、有期雇用労働者についても適用対象とした「パート・有期法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)」が施行されます。

この「パート・有期法」は、いわゆる「パート・有期雇用労働者の同一労働同一賃金」を定めた法律となります。

具体的には、パート・有期法第8条において、いわゆる「通常の労働者」と「パート・有期社員」との間の「均衡待遇規定(不合理な待遇の禁止)」を定めています。

また、パート・有期法第9条において、「通常の労働者」と「パート・有期社員」との間の「均等待遇規定(差別的取扱いの禁止)」を定めています。

「均衡待遇規定(第8条)」とは、「通常の労働者」と「パート・有期社員」との間に待遇差がある場合は、その差はバランスのとれたものでなければならないとの規定です。

一方「均等待遇規定(第9条)」とは、一定の条件下では、「通常の労働者」と「パート・有期社員」との間に一切の待遇差があってはならないとの規定です。

この「均衡待遇規定(第8条)」の判断基準(バランスがとれているか)は、以下の要素を考慮して判断するとしています。
@「職務の内容(業務の内容と責任の程度)」
A「職務の内容及び配置の変更の範囲」
B「その他事情」

また、「均等待遇規定(第9条)」は以下の要件を基準に判断し、この要件を満たす場合は、「通常の労働者」との間に待遇の相違を設けることを禁止するとしています。
@「通常の労働者と同視すべきパート・有期社員」であること
→ 具体的には
・「職務の内容(業務の内容と責任の程度)」が通常の労働者と同一であること
・「職務の内容及び配置の変更の範囲」が、雇用関係の全期間において通常の労働者と同一と見込まれること
A「パート・有期社員であることを理由とした」待遇の相違であること

このように「均衡待遇(第8条)」「均等待遇(第9条)」を判断するにあたっては、下記の定義が重要となります。
@「職務の内容(業務の内容と責任の程度)」
A「職務の内容及び配置の変更の範囲」
B「その他事情」

このため、この定義について、施行通達の内容を見ていきたいと思います。

なお、下記の定義は施行通達の定義であって、民事上の判断基準とは必ずしも一致しないところもありますので、ご注意ください。

まず一つ目の基準である「職務の内容」を考慮・適用するにあたり、施行通達では「通常の労働者」と「パート・有期社員」との間の違いを以下の手順で判断するとしています。

@「業務の種類」が同じかどうか
 → 異なれば、「職務の内容」は異なる
A「中核的業務」が同じかどうか
 → 異なれば、「職務の内容」は異なる
B「責任の程度」が同じかどうか
 → 著しく異なれば、「職務の内容」は異なる
C@〜Bが同じならば、「職務の内容」は同じ

具体的には、
@「業務の種類」が同一であるかどうかは、「厚生労働省編職業分類」の細分類を目安として比較し、この時点で異なっていれば、「職務の内容が同一ではない」と判断する。

A他方、「業務の種類」が同一であると判断された場合には、次に比較対象となる「通常の労働者」と「パート・有期社員」の職務を業務分担表、職務記述書等により個々の業務に分割し、その中から「中核的業務」を抽出する。
「中核的業務」とは、ある労働者に与えられた職務に伴う個々の業務のうち、当該職務を代表する中核的なものを指し、以下の基準に従って総合的に判断すること。
(1)与えられた職務に本質的又は不可欠な要素である業務
(2)その成果が事業に対して大きな影響と与える業務
(3)労働者本人の職務全体に占める時間的割合・頻度が大きい業務
この抽出した「中核的業務」を比較し、同じであれば、業務の内容は「実質的に同一」と判断し、明らかに異なっていれば、業務の内容は「異なる」と判断することとなる。

Bここまで比較した上で業務の内容が「実質的に同一である」と判断された場合には、最後に、両者の職務に伴う「責任の程度」が「著しく異なって」いないかどうかを以下のような事項について比較し、チェックする。
(1)授権されている権限の範囲(単独で契約締結可能な金額の範囲、管理する部下の数、決済権限の範囲等)
(2)業務の成果について求められる役割
(3)トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応の程度
(4)ノルマ等の成果への期待の程度
(5)上記の事項の補助的指標として所定外労働の有無及び頻度
この比較においては、例えば管理する部下の数が一人でも違えば、責任の程度が異なる、といった判断をするのではなく、責任の程度の差異が「著しい」といえるものであるかどうかを見るものであること。
なお、いずれも役職名等外見的なものだけで判断せず、実態を見て比較することが必要である。

C以上の判断手順を経て、「業務の内容」及び「責任の程度」の双方について、「通常の労働者」と「パート・有期社員」とが同一であると判断された場合が、「職務の内容が同一である」こととなるとしています。


次に二つ目の基準である「職務の内容及び配置の変更の範囲」を考慮・適用するにあたり、施行通達では「通常の労働者」と「パート・有期社員」との間の違いを以下の手順で判断するとしています。

@「転勤」の有無
 → 「通常の労働者」のみ転勤あり、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なる
A「転勤の範囲」が同じかどうか
 → 異なれば、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なる
B「職務内容と配置の変更」の有無
 → 「通常の労働者」のみ変更あり、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なる
C「変更の範囲」が同じかどうか
 → 異なれば、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なる
D@〜Cが同じならば、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は同じ

具体的には、
@「通常の労働者」と「パート・有期社員」について、配置の変更に関して、「転勤の有無」が同じかどうかを比較し、この時点で異なっていれば、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なると判断される。

A転勤が双方ともあると判断された場合には、全国転勤の可能性があるのか、エリア限定なのかといった転勤により異動が予定されている範囲を比較し、この時点で異なっていれば、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なると判断される。

B転勤が双方ともない場合、及び双方ともあってその範囲が「実質的に」同一であると判断された場合には、事業所内における「職務の内容の変更」の態様について比較する。
まずは、「職務の内容の変更(事業所内における配置の変更の有無を問わない)」の有無を比較し、この時点で異なっていれば、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は異なると判断される。

C「職務の内容の変更」の有無が同じであれば、「職務の内容の変更により経験する可能性のある範囲」も比較し、異同を判断する。

D以上の判断手順を経て、「配置の変更の範囲」及び「職務の内容の変更の範囲」の双方について、「通常の労働者」と「パート・有期社員」とが同一であると判断された場合が、「職務の内容及び配置の変更の範囲が同一である」こととなるとしています。


最後に三つ目の基準である「その他の事情」を考慮するにあたり、施行通達では「職務の内容」並びに「職務の内容及び配置の変更の範囲」に関連する事情に限定されるものではなく、考慮すべきその他の事情があるときに考慮するべきものであることとしています。

この3つの判断基準は、パート・有期社員の「均衡待遇」・「均等待遇」を判断するための重要な基準ですので、十分に理解しておく必要があります。

なお、再度申し上げますが、上記定義は施行通達で定める基準であって、民事上の判断基準とは必ずしも一致しないところもありますので、ご注意ください。

posted by ユナイテッド・パートナーズ社労士事務所 at 11:22| 労働法改正情報